『ドラゴンボールZ 復活の「F」』"DRAGONBALLZ Resurrection of F"(2015)

はい。せっかく映画館でドラゴンボールを見たので、感想書いておきます。
好調のスタートで、興行も良いみたい。もう20年以上前のマンガの映画に、これだけ多くの人が集まるって、それだけでとてつもないことですね。

『ドラゴンボールZ 復活の「F」』(2015)

監督:山室 直儀
脚本:鳥山 明
原作:鳥山 明
製作担当:藤岡 和実
音楽:住友 紀人
美術:行 信三
特殊効果:太田 直
CGディレクター:牧野 快
色彩設計:堀田 哲平
撮影監督:元木 洋介
出演:野沢雅子、堀川りょう、中尾隆聖、山寺宏一 他


前作「神と神」から続いたストーリーとなる本作。もちろん人気コミックドラゴンボールが原作ですが、その中でも一番印象的な敵、フリーザが登場と合って、公開前から様々なメディアで話題でした。その人気は海外でも。LAでプレミアがあったらしいです。
きっかけはマキシマムザホルモンの「F」。そのまんまフリーザを歌ったものでして、原作者の鳥山先生がこれを逆輸入する形で今回の映画へつなげたとか。
以下はネタバレになりますので、よろしい方のみご覧ください。


破壊神ビルスと超サイヤ人ゴッドとなった孫悟空の闘いから月日は流れ、地球には平穏な日々が訪れていた。
しかし、かつて悟空たちに倒された宇宙の帝王フリーザの、生き残った手下がドラゴンボールを求め地球へ。フリーザを蘇らせてしまう。再生されたフリーザは、自身に屈辱を与えたサイヤ人への復讐を誓う・・・


はい。フリーザ様お帰りなさい。という映画で、神と神もような同窓会でありつつも、今回は原作を知らなければキツイはず。説明などはあまりないのです。
原作ありアニメ映画のなかで、「よくわかんないけど観るかな~」というノリで観れるものでは無いですね。

しかし本当にフリーザがよみがえりました。スクリーンで見れて嬉しいです。しかも中尾さんの演技はZ放映当時から衰えず素晴らしい。フリーザの怒りの叫びは圧巻でした。
もちろん、悟空役の野沢さんもこれまた信じられない力強さ。もうすぐ80歳だと言うのに、とびきりZENKAIパワーです笑 みなさん世界を盛り上げてくださる声優さんばかり!


さて、今回は宣伝時からZ戦士の活躍が打ち出されており、中盤にかけては天津飯も亀仙人もバトルしてくれます。強さの設定とかは確かに崩壊気味ですが、1000人のフリーザ軍兵士とZ戦士の闘いは見ごたえありました。それぞれの技を使っていて懐かしくも思えました。
さすがに悟飯ファンには辛いかもですね・・・「たぶんまだ超サイヤ人にはなれると思います!」って・・・
まぁファンサービスですからね。台詞なんかはオマージュもありますし、ちょっとした小ネタも。


さあ、メインイベントは悟空VSフリーザ。
バトルパートが多めというだけあって、激しいぶつかり合いが多かったです。意図的なのか音楽が少な目で、緊張感の演出でしょうか?
ある程度見やすく整理したのでしょう、Zの戦闘と似た感じ。高速演出は人によっては手抜きに感じるかも?個人的には神と神における、キャラ、背景そしてカメラまでぐるぐる回るバトルが好きでしたね。
ただバトル描写以上に私は何だか・・・という部分がありまして。


それはいかにフリーザの新形態、ゴールデンフリーザをみようと、いかに青い超サイヤ人をみようと、ぬぐえないものでした。金色と紫は意外にカッコよく、青い新変身もまた違った面白さがありました。ところが状況があまり好みではなかったのです。
いうなれば、バランス的な問題が。
フリーザとは原作において一切余裕のない絶対性を感じる話であり敵。しかし今回は、超サイヤ人ゴッドの超サイヤ人、そして控える同格に強いベジータ、さらにはビルスとウイスまでいます。
敵と味方でのトーンが食い違っています。
もちろん、それはこの映画での戒め「余裕ぶっこくとヤバい。」のためのバランスでしょうが、
そもそもそのテーマはドラゴンボールに置いて何度も描かれていることですね。超2悟飯からのセル自爆、デブブウと超3悟空など。
最初から勝てる状態というのは、どうもフリーザという素材に合わない気がするのです。
もはや出る幕が無かったのでしょうか。緊張感の欠ける話であり、そしてテーマも何度も繰り返すべきものでは無いと思います。


前作の「上には上がいる」は何度も体験し繰り返すドラゴンボールの本質でした。
今回はちょっと主題がイマイチと感じます。その微妙さは、今作のフリーザに名セリフが無いことによく表れているでしょう。絶対的悪を感じないが故に、絶望的な言葉もない。

フリーザをまた観れる、悟空たちの新たな変身が観れる。
ファンへのサービスとしては、原作を壊さない程度で良いと思います。ただ純粋にすっきり楽しめもせず、緊張と興奮のカタルシスを感じるにも物足りないです。
あ、あと・・・エンディングはどうにかならなかったんでしょうかね。一番ズレてたのはあれでしたよ。

えー、ファンなら行った方がいいかな。知らない人はお勧めしませんし、どうしてもというなら原作を読んでからの方が。あくまでファンサービスとしてのフリーザという感じに思ったものでした。
私個人として、前作の方がらしくて好きだった。それじゃ、また。

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