「ドラゴンボールZ 神と神」"DRAGONBALLZ Battle of Gods"(2013)

せっかくFの方を感想書いたので、お調子にのって前作を。
復活のFのレビューはこちら

映画館へは行ってないんですが、テレビ版で劇場版と特別版を鑑賞。
Zで言えば18年ぶりの映画であり、初の単作上映なんですね。

「ドラゴンボールZ 神と神」(2013)
監督:細田 雅弘
脚本:渡辺 雄介
原作:鳥山 明
製作:冨永 理生子、ギャルマト・ボグダン
音楽:住友 紀人
編集:福光 伸一
色彩設定:堀田 哲平
特殊効果:太田 直
出演:野沢 雅子、堀川 りょう、鶴 ひろみ、田中 真弓、古川 登志夫、山寺 宏一 他


大ヒット漫画「ドラゴンボール」から、ほんとうに久々な新作映画。テレビではZを再編集した改を放送していましたが、完全新規の話は久しぶりなのです。
私はいわゆる原作派でして、漫画を基本に好きなのですが、アニメは再放送などで観ました。過去の劇場版はとりあえず大体は観ましたかね。初期作とバイオブロリーは観てないですが・・・
今作はある意味で、過剰になった世界に区切りをつけつつ新たな広がりを与えてくれました。


ピッコロ大魔王、サイヤ人、フリーザ、人造人間とセル、そして魔人ブウ。数々の強敵を破ってきた孫悟空と仲間たち。
今ではすっかり平和になった地球では、ブルマの誕生日パーティが開かれていた。そしてそれをつい忘れて、悟空は界王様のもと修業を続けている。
しかしそんな平和な日も、破壊神の目覚めによって打ち砕かれてしまう・・・?


新たな世界の案内役は、とびっきりの強さの新キャラでした。
破壊神ビルスとその師匠ウイス。ユーモアを絶やさないキャラはシリアスな敵とは違い、雰囲気を面白いものにしてくれました。正直相手を殺すまで終わらない緊張の闘いには疲れていたので、シリーズ的にもここらで原点回帰が必要かと。
そういう点では演技の上手さもあり、憎めないけどとっても怖いビルスは良いですね。
恐ろしい悪ではないので、何か初めての経験に直面するような、ドキドキとちょっぴりのこわさを感じるのです。


全編はコメディと言っていいでしょう。バトルは盛り上がりますが、序盤は完全にドラゴンボール同窓会。懐かしのキャラも集まってのお祭り状態。ですがしっかりとビルスたちの参入と今作でのみんなの変化や進化も織り交ぜられています。
ギャグシーンでの印象はもちろん、うまい台詞配分とハイライトでそれぞれに記憶が残る。ベジータの怒りの超パワーは、人間臭さのある彼故の良いシーンです。
誰がどこで何をしていたか。やはり主役の悟空以外が薄くなる中で、そういったワンポイントでの印象付けが非常に大事に思いますね。
ビルス、そしてZ戦士のみんな、それぞれ印象的なセリフもあって良かった。悟空とベジータの直接的でないやり取りも良いですね。
「みんなの力借りなきゃビルス様と戦えないのが、悔しいんだ!」これが結構好きで。悟空が葛藤を含む台詞を言うのが感動的です。


かわいげもあるが、怒ったらやっぱり大変な破壊神ビルス。
界王やナメック星人であった神様ともちがう、ネコ人間(ゴテンクス命名)。衣装デザインも含め、シンプルで細身、一見弱そうだが秘めたる力はものすごい。原作ではよく言われたスタイルですね。

ビルスはこの映画でのバトル相手という役割以上に、シリーズ的にもう可能性の終焉をうまく持ち上げたと思います。今まではもう、単により強い敵をだす・・・くらいでしたが、今回は神の領域を与えました。
気や戦闘力をもはや否定するような相手。
これは理解不能な強さをだすと同時に、説明的で単調な数値の力比べを終わらせた革新でもあると思いました。


もう一つの新要素であり、もう一つの到達点。超サイヤ人ゴッド。
変身が3で過剰になったとき、逆に細く、色以外違いのない姿の方が印象的です。それに特殊効果での炎のようなオーラ、無駄のなさからくる精錬。好みはあるにしても、やたら派手にバチバチとイナズマを走らせるよりはスマートな進化に感じました。

さて、バトルは激しくも組み立てのわかるものでしたね。高速演出や描写感覚を飛ばしたようなものでなく、組み手を意識した良さが観れました。
また舞台が町や森、洞窟に天空果ては宇宙まで及ぶんです。ドラゴンボールの場所を選ばないスケールの大きいバトル感が効果的に出ています。
挿入歌のFLOWによる「HERO~希望の歌~」が熱く盛り上げ、上下感覚を失うほどめまぐるしくカメラと背景、またキャラが動くバトルが!新たな次元のバトル描写でした。


すべておわって、結局なにが起きたかと言えば、簡単なことでした。
新しい世界が始まった。
これだけ。しかし頂点となった悟空にこんなに嬉しいものは無いでしょう。
ベジータ戦での「てっぺんのつもりが、すげぇ奴がいた。こんなヤバい時だけどワクワクしてきた。」
フリーザ戦では「もう二度とない。宇宙一の奴のフルパワーと戦えるなんて。」
ブウの最後には「待ってるからな。オラももっともっと修行して。」
常により強い相手と戦うことを夢見たのが孫悟空でしたね。今作ではうまく、彼の上を作ります。
最強だからカッコいいのではないと思っています、どんなに上がいても諦めず強くなるから悟空はステキなのだと思います。
まだまだ世界は大きい。「世の中にはつえぇ奴がいっぱいいんだなぁ」・・・といつまでも頑張る悟空が観れて私は大満足。幸せな映画でした。

長くなりましたね。みなさんが、DBファンがどう思うかは分かりませんが、私がDBにおいて一番好きなところが出ている映画でした。それではまた~

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